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こんなときどうする

もはや『知らなかった!』ではすまされません
日常の生活で法律を意識して行動することは、めったにないかもしれませんが、世の中に目を転じると、通り魔事件が多発し、家庭内の殺人や虐待、企業の不祥事、ネット上のトラブルが多発しています。 いつ、わが身、わが家族が事件や事故に巻き込まれたり、犯罪行為を犯すことも限りません。 そんなときに頼りになるのが、法律の知識です。
知って得する、知らないと損をする法律をケーススタディで紹介します。
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【領収書改ざん】立派な犯罪行為 バレたら会社はクビと覚悟せよ [危ない法律]

領収書を書き換えて実際より多めの金額を会社に請求し、ポケットにいれる。ほんの小遣い稼ぎと軽く考えているなら、すぐにでも認識を改めるべきです。


この行為は私文書を偽造して詐欺を働いたとみなされ(私文書変造罪 刑法159条)、刑事告訴されれば懲役あるいは罰金刑が科せられる立派な犯罪なのです。

また、領収書によらず、会社の金を直接着服した場合は横領罪(刑法252条)が成立し、これも刑事罰の対象になります。











そうはいっても、いずれの場合も着服額が少額であれば、示談になることもあります。しかし、その制裁は重く、勤め先を懲戒解雇され、働き口と退職金を失う可能性も十分に考えられます。


1998年1月に判決がでた「ダイエー事件」では、次長職にあった社員が、ほかの社員との夕食代の領収書を改ざんして10万円を水増し請求し着服したことが発覚し、懲戒解雇になったものです。
裁判では、初犯で金額も少なく、阪神淡路大震災後で心身が疲弊していたときの行為であったことなどを理由に、懲戒解雇は重すぎるとして撤回を求めたが、認められませんでした。


また、1995年3月の「川中島バス事件」では、定年退職間近のワンマンバス運転手が、バス料金3,800円を着服した結果、懲戒解雇処分を受けています。

1989年3月の「前橋信用金庫事件」では、信用金庫職員が顧客から集金した10,000円を着服したとして懲戒解雇となっています。



これらのさまざまな不正請求・横領事件をざっと俯瞰してみると、決して多いとは言えない着服金額に対して、下された処分は非常に重いという印象がぬぐえません。

とくに、スーパーマーケットや金融機関、旅客運行会社、会社の経理部門など、現金を扱う職務では、不正請求や横領にとりわけ厳しい姿勢で臨む傾向があります。

売上金3000円中の510円の未納入だけで解雇されたタクシー運転手もいたほどです(松山地裁・1974年5月判決)。


もちろん、不正請求や横領は、発覚すれば必ず懲戒解雇というわけではありません。悪質で常習性があれば解雇もやむを得ませんが、不正にルーズな職場で領収書改ざんなどが横行している場合、初犯で発覚したからといって、即解雇というのは行き過ぎの感が否めません。


とくに、特定の社員をやめさせるために、狙い撃ちで不正請求を見つけ出すという行為は職権濫用にあたり、妥協性を欠きます。
経営側で職場のモラルをまもり、不正請求を根絶したいのであれば、今後不正には厳しい態度で臨む旨をあらかじめ周知徹底したうえで、対応にあたるべきところです。




最近の事例では、会社の経費をカード払いにした際のポイントやマイレージをどう扱うかという点が問題になることがあります。
1997年の「上田株式会社事件」では、会社名義のカード利用明細書についているクーポン券を集めて、14万円相当の商品券を不正取得した経理課長が解雇されています(東京地裁 1997年9月判決)。


会社の経費支払いによってたまったポイントは、本来会社に返すべきですが、実際には期限や交換賞品などの都合でそれもむずかしい場合があります。


いずれにしても、この種の不正はまぎれもなく犯罪であり、常習性、悪質性、本人の反省度合い、職務内容などを総合的に判断して、なんらかの処分が下されるかたちになります。




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